活動報告・最新情報

モンゴル B型・C型肝炎現地調査

WHO collaborating centerである金沢大学から寺島健志と島上哲朗が、2017年6月10-17日の期間、WPROの一時的なアドバイザーとして、モンゴルのB型・C型肝炎の現地調査に参加した。この調査の目的は、モンゴルにおける肝炎患者のスクリーニング、診断、治療、フォローアップの一連の流れを評価することであった。モンゴルはWPROの中で最もHCVが蔓延し、非ワクチン接種成人におけるHBV感染率も高い。WHOは、モンゴルにおける肝炎の状況を2015年末に調査し、以下に公表した。
http://www.wpro.who.int/hepatitis/hepatitis_resource_publication/viral_hepatitis_mongolia_2015/en/

現在までに、様々な肝炎対策がなされている。2020年までにHCVを駆除することを目的として、2016-2020年度の政府の肝炎対策プランが策定され、2015年中期には、C型肝炎に対する新しい診断、治療のガイドラインも作成された。現在まで7000人以上のC型肝炎患者が直接作用型抗ウイルス剤の投与を受け、約9000人のB型肝炎患者がWHOの推奨する抗ウイルス療法を受けている。

今回の調査の目的は以下であった。
1)モンゴルにおけるB型肝炎、C型肝炎患者の診療の質に関するデータを収集し、評価すること。
2)医療施設における肝炎ウイルス感染者のスクリーニング、診断、治療、治療後の経過などのデータ収集体制に関して討論すること。
この調査チームには、金沢大学からの2名に加えて、WPROから2名の肝炎専門官、オーストラリアから1名の肝臓専門医、1名の疫学研究者、WPROモンゴルから2名の現地スタッフも参加した。

現地でのスケジュールは以下の通りであった。
6月10日:ウランバートル到着
6月11日:アーカンガイ州へ移動
6月12日:アーカンガイ州の公的医療機関訪問
6月13日:ウランバートルへ移動
6月14日:National Center for Communicable Diseaseと第1病院訪問
6月15日:ウランバートルの個人病院・検査センター、公的医療機関訪問、患者団体の代表との面談
6月16日:ウランバートルの個人病院・検査センター訪問
6月17日:APASLカンファレンス参加、肝炎教育資材に関する現地医師との意見交換

我々は、他の調査チームのメンバー及び現地の人と、我々の有する肝炎診療に関する様々な経験・知識を共有することで、この調査に貢献した。
さらに6月17日には、モンゴル人医師約15名と金沢大学が作成した肝炎教育資材に関しての討論を行った。この際に得られた意見をもとに、肝炎教育資材をモンゴルの現地状況に合わせて改変する予定である。さらに改変した肝炎教育資材はモンゴルの医療スタッフの教育に使用される予定である。
モンゴル B型・C型肝炎現地調査

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