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門脈圧亢進症
門脈圧亢進症とは
腸管や脾臓からの血流は、「門脈」を通って肝臓へと流れ込みます。門脈圧亢進症とは、何らかの原因で門脈の血流が滞り、その血圧が上昇することによって生じる様々な症状をさします。
当科での門脈圧亢進症治療の特色
門脈圧亢進症に対する治療はもちろん、門脈圧亢進症に至った原因疾患(ウイルス肝炎、NASH、自己免疫性肝疾患、特発性門脈圧亢進症、Budd-Chiari症候群など)を究明し、原因となった疾患の治療もおこないます。
食道静脈瘤に対する内視鏡治療である内視鏡的硬化療法(EIS)、静脈瘤結紮術(EVL)、アルゴンプラズマレーザー焼灼術(APC)の治療件数は地域で最多であり、放射線科と共同で治療する胃静脈瘤に対するカテーテル治療(BRTO)や部分脾動脈塞栓(PSE)の経験も豊富です。これらの治療成績や経験は、全国規模の学会や論文で発表されており、本邦を代表する門脈圧亢進症の診療施設となっています。
また北陸地域で現在1人だけの日本門脈圧亢進症学会の技術認定医(内視鏡治療領域)が治療にあたっています。
食道・胃静脈瘤
食道静脈瘤に対しては破裂・出血を防ぐために予防的治療を積極的におこなっています。体への侵襲が少ない内視鏡的治療を中心に多くの症例を治療しており、一般的な静脈瘤結紮術のほか、他院ではあまりおこなえない内視鏡的硬化療法(EIS)も施行しています。再発予防のアルゴンプラズマレーザー焼灼術(APC)までおこない、治療後は定期的に内視鏡検査で経過観察します。
破裂・出血症例に対する緊急止血症例も多く経験しており、他院からの転院搬送も含めて受け入れています。胃静脈瘤に対してはカテーテルを用いたIVR治療(BRTO、PTO)や外科的手術を含め、他科と連携して最適と思われる集学的治療をおこなっています。止血だけでなく、肝性脳症や肝不全の進展予防を含めたトータルマネジメントをおこないます。
腹水・肝性脳症
腹水や肝性脳症に対する治療として、最新の知見に基づき、個別に最適な薬物療法をおこなうほか、栄養部と連携して食事療法をおこないます。
IVR治療(BRTO)や部分的脾動脈塞栓術(PSE)や脾臓摘出術(外科手術)による治療が有効な症例もあり、放射線科・外科と連携して治療に当たっています。
門脈血栓症
門脈血栓症に対する抗凝固治療を積極的におこなっており、治療成績と予後の改善について国内外の学会や論文で発表しています。現在も経口抗凝固薬による門脈血栓症治療の臨床研究をおこなっており、注目されています。