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肝炎・遺伝子解析研究グループ

研究概要

ゲノミクス解析の手法を用いた慢性肝疾患における炎症・発がんと線維化の研究を行っております。HBV・HCV等ウイルス性慢性肝疾患のウイルス複製・線維化・代謝制御、非アルコール性脂肪肝疾患における線維化制御の研究を行っています。金子周一教授が班長となっているHBV排除にむけた新規治療法開発の研究班、HCV感染からの肝発癌阻止に関わる研究班などの取り組みが進行中であります。金沢大学のプレリリースにも掲載された2論文を以下に挙げます。

研究1

Selenoprotein P(SeP)のmRNAはHCV感染においてRIG-I介在性の自然免疫を制御する。Murai K et al, Cell Host Microbe. 25(4):588-601, 2019.

肝臓で産生される分泌タンパク質であるSePとHCV感染との関連について評価した。SePは2型糖尿病において産生が亢進し、肝細胞や筋肉細胞における糖代謝に影響を与えている。本研究ではin-vivo、in-vitroおよび臨床検体での評価により、HCV感染によって発現誘導されたSePのmRNAが、抗ウイルス免疫分子であるRIG-Iタンパクに結合し、活性化に必要な構造変化を妨げることにより、抗ウイルス作用を有する1型IFNの誘導を抑制していることを証明した。

図. HCV感染によって誘導されたセレノプロテインP のmRNAによる自然免疫制御メカニズム

研究2

血清aldo-keto reductase family 1 member B10(AKR1B10)測定により非アルコール性脂肪性肝炎の肝線維化と重篤な合併症予測が可能である。Kanno M et al, J Gastroenterol. 54(6):549-557, 2019.

AKR1B10はNADPH依存性還元酵素であり、肝がんを含む様々ながん種の組織内で高発現していることが報告され、その診断マーカーとして注目される。また我々は以前の研究で非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の肝組織におけるAKR1B10遺伝子発現に着目し、マイクロアレイ解析にて評価したところ、肝組織内での線維化とAKR1B10が関連していることが判明した。そこで、血清AKR1B10もELISAにて評価したところ、NASHにおける肝線維化進展評価に有用な新規バイオマーカーであることを示し、さらに血清WFA(+)-M2BP (M2BPGi)との組み合わせた評価は肝線維化に加え合併症および予後がより予測可能であった。

図. 血清AKR1B10値高値及びWFA(+)-M2BP高値のNASH患者は診断後の予後が有意に不良となる

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